エルエアで滞在制作を行ったアーティストからの寄稿文を紹介します。今回は2024年10月21日から2025年1月15日の期間中滞在した美術家・澁木智宏。3ヶ月の滞在を経てアーティストの見たものや感じたこと。

この度の滞在製作は、終始皮革に触れ、高木地区の空気感を感じ、そこから導き出せる表現を探る時間となりました。
普段テキスタイルを素材に用いた作品を多く制作しており、素材的な特徴でもある「触れる体験」や「包むもの」に関心を持っています。以前より皮革についても興味はありながらも、素材として向かい合う機会を作れていなかったので、この度の滞在製作は、私にとって視野が広がる良い機会となりました。
さらに、朝は滞在棟で目覚め、夜まで滞在棟の隣にあるアトリエで制作をするという、ルーティンの中での生活が主でした。東京を拠点として活動していますが、その日常との空間的にも切り離された場に身を置くことで、シンプルな思考で制作ができた経験ともなり、その点においても学びのある時間になったと思っております。
実際に制作した作品は、工場の継ぎ接ぎされた建物の様相や、表に見えなくとも皮革に包まれている高木地区の有様を切り口に、タンナー各社から提供してもらった様々な皮革素材を用いて、高木の風景を描いた作品を制作しました。姫路駅での展示は終えましたが、今後はL-AIRの展示ホールでの展示も控えております。作品を通して、改めて高木地区と皮革の可能性、そして鑑賞者を繋ぎ直す機会にできたら幸いです。

L-AIR season1 ARTIST
SHIBUKI, Tomohiro @tomohiro_shibuki
the 21st of October, 2024 → the 14th of January, 2025