
26年シーズン1(S1)の招聘アーティストとして、靴職人 AMARA HARKWEBER(アマラ・ハークウェバー) と、アーティスト 小林 明日香 の2名を招聘することを決定しました。
滞在期間は2026年1月5日(月)から約3ヶ月間。姫路の皮革文化を背景に、それぞれの視点と手法による新たな創作活動が展開されます。
招聘アーティスト
2026年1月5日(月)〜3月29日(日)
小林 明日香 / アーティスト
略歴
2020年 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程絵画専攻日本画研究領域 修了
ステイトメント
私の作品は、「静と動」「古典と現代」「デジタルとアナログ」など、相反するものを同一画面上で表現・共存させることを基軸とし、新しい感覚や概念の創造を試みています。
制作においては、コラージュ、刺繍、ドローイング、日本画など多様な技法と素材を組み合わせます。古い掛け軸や着物の端切れといった古典的な素材や、制作過程の写真といった現代的な要素を取り入れ、これらを刺繍の糸や墨の線で統合しています。この糸と墨の線自体が過ぎ去った時間の集積を意味し、対立する存在を共存させることで、作品を完成とプロセスの間を往復させます。
また制作の根底には、対象を観察とスケッチする日本画的な感性があります。私は、完成された大量生産品が溢れる現代において、改めてプロセスや過去について考え直すことが重要だと考え、過去から現在を見つめることで、より良い未来へ繋がる視点を探求し続けています。
参加にあたって
皮革は私にとって日常生活では馴染みのあるものでありながら、制作においては未知で、挑戦的な素材です。
姫路という土地の歴史、作業工程、人々の生活。これらの「記憶」を内包する皮革を姫路で生活しながら観察し、自身の制作の中に馴染ませ、一緒に時間の流れを体感してゆく過程を楽しみにしています。
そして生活しつつも、外からやって来た観察者の視点から得た感覚と時間を作品に閉じ込めます。完成してもなお皮革が自身の作品の中で歴史を重ねて痕跡を残していくことを期待しています。

AMARA HARKWEBER(アマラ・ハーク=ウェバー)は、アメリカ合衆国ミネソタ州セントポールを拠点とするビスポーク(注文仕立て)の靴職人です。シカゴ美術館付属美術大学で修士号(MFA)を取得中に靴作りを始め、木型作りを含む履物のすべての要素を自身で製作しています。彼女はDW Frommer、Janne Melkersson、Marcell Mrsanから学んできました。過去にはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスとバード・カレッジで学位を取得しています。靴作りを始める前は、ドキュメンタリーとストーリーテリングを教える作家兼写真家として活動していました。
ステイトメント
私は、木、革、釘、ワックス、糸を用いて、工房ですべての要素を一から作り上げる「A-Zメーカー」です。2012年にMFAを修了する際、コンセプチュアルな靴を作り始め、以来、ビスポークの靴職人として生計を立てて来ました。私の靴は、非常に多くの理由で履かれますが、その多くは着用者の感情的な生活と密接に結びついています。ビスポークの靴を履くことで自身を得る人もいれば、安らぎを見出す人もいます。ビジョンが実現したと感じる人もいれば、出来事の記念品や遠い昔の記憶のよすがを求める人もいます。ビスポークの靴職人としての私の役割は、靴を作ることではなく、夢を叶えることなのです。
参加にあたって
私は、形と動きを通して自分のアイデアを表現する方法を求めて、アーティストとして靴作りに出会いました。美術学校を卒業した後、他者のための靴作りを始め、以来ずっと、素材である「革」への愛と敬意に突き動かされて製作を続けてきました。ここ数年、私は自身の芸術的バックグラウンドに戻りたいという思いを募らせてきました。このレジデンシーは、多くの回帰と再訪の機会となります。職人としての私の技術に根ざしながらも、過去、現在、未来というアイデアに突き動かされた新しい作品群を形成するために、夢と記憶から着想を得たいと考えています。
